「ちゃんと書いているのに、なぜか伝わらない」――
そんな違和感を抱えていませんか。
訪問看護の現場では、どのスタッフも忙しい中で一生懸命に記録を残し、申し送りを行っています。それでも「情報が共有されていない」「結局、書いた人に直接聞くことになる」といった状況が繰り返されるのは、決して個人の能力や意識の問題ではありません。
問題の本質は、記録や申し送りの「仕組み」にあります。
本記事では、訪問看護の現場で記録や申し送りがバラバラになってしまう構造的な理由と、現場に無理をかけず、実際に回る形で整えるための考え方を具体的にお伝えします。
「何を書けばいいか分からない」という迷いを減らし、スタッフ全員が安心して働ける環境を作るための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
記録や申し送りがバラバラになる本当の理由
「書けない」のではなく「何を書けばいいか分からない」
記録や申し送りがバラバラになると、つい「書き方の問題」「意識の差」と捉えてしまいがちです。しかし実際の現場を見ると、看護師が書けていないケースはほとんどありません。
多くの場合、「何を書けばいいのか」が明確に定まっていないだけなのです。
たとえば、ある人は利用者の様子を丁寧に書き、ある人は対応や処置を中心に書き、またある人は家族とのやり取りを詳しく残します。どれも間違いではありませんが、基準がない状態では、記録の内容や視点が人によってばらつくのは自然なことです。
「自由に書いていいよ」という言葉は一見やさしく聞こえますが、実は現場にとって非常に難しい指示でもあります。
- どこまで書けばいいのか
- 何を優先すればいいのか
- 省いていい情報は何なのか
これらが分からないまま書く記録は、読む人によって「足りない」「分かりにくい」と感じられてしまいます。
つまり、記録や申し送りが揃わない原因は、個々の看護師の能力や姿勢ではなく、「書くための共通の目安」がないことにあります。
この目安さえあれば、看護師は迷わず書けるようになり、記録や申し送りは自然と揃っていくのです。
ルールが「ない」か「多すぎる」かの両極端
記録や申し送りが整わない現場を見ると、次のどちらかに当てはまることが少なくありません。
ひとつは、明確なルールがほとんどない状態です。
「特に決まりはないから各自で書いている」
「前からこうやっているから」――
そんな空気の中では、記録の内容が人によって違ってしまうのは当然です。
もうひとつは、ルールが多すぎる状態です。
細かい記載ルールがたくさんあり、マニュアルは分厚く更新も追いつかず、全部守ろうとすると記録に時間がかかりすぎる。この場合、「全部は守れないから、結局自己流になる」という状況が起こりがちです。
どちらの状態にも共通しているのは、現場が迷っているということです。
- ここまで書くべき?
- この情報は必要?
- 省いたら怒られる?
こうした迷いを抱えながら書く記録は、どうしても人によって差が出てしまいます。
記録や申し送りのルールは、多ければいいわけでも、なければいいわけでもありません。現場に必要なのは、「これだけは共通にしよう」という最低限の目安です。それがないままでは、どれだけ真面目に書いても、記録や申し送りは揃いません。
共有の前提が人によって違う
記録や申し送りが伝わらない理由は、書き方やルールだけではありません。もうひとつ大きいのが、「誰に向けて書いているのか」という前提が、人によって違うことです。
たとえば、管理者が読むことを想定して書いている人、次に訪問する看護師向けに書いている人、オンコール対応者を意識して書いている人――それぞれ想定している「読む相手」が違えば、書く内容や詳しさが変わるのは自然です。
管理者向けなら全体像や判断材料を重視し、現場向けならその場で使える情報を優先し、オンコール向けなら夜間に必要なポイントを書きたくなる。
どれも間違いではありませんが、前提が共有されていない状態では、「欲しい情報が書いていない」「分かりにくい」と感じる人が出てきてしまいます。
結果として、記録を読んでも状況がつかめず、必要な情報がどこにあるのか分からず、結局直接聞くことになる――という流れが生まれます。
記録や申し送りを整えるために必要なのは、文章力や意識改革ではなく、「この記録は、誰が、何のために使うのか」という共通認識です。この前提がそろってはじめて、「何を書けばいいか」「どこまで書けばいいか」が見えてきます。
「揃えよう」とすると失敗する理由
完璧を目指すと続かない
記録や申し送りを整えようとすると、つい「揃えなければ」「統一しなければ」と考えてしまいます。そして気づくと、全員に同じレベル・同じ質の記録を求めている状態になりがちです。
しかし訪問看護の現場では、経験年数も得意分野も一日の業務量もそれぞれ違います。そこに「このレベルで書いてほしい」という理想の形を一気に求めてしまうと、次のような悪循環が起こります。
- 忙しい人ほど負担が増える
- 書けない人は責められているように感じる
- 指摘や注意が増え、記録が苦痛になる
結果として、「完璧に書けないなら最低限でいい」「どうせ全部は守れない」という気持ちが生まれ、仕組みそのものが形骸化してしまうのです。
記録や申し送りは、評価や指導のためのものではありません。
本来は、現場が安全に、安心して回るための道具です。全員を同じ形にそろえようとするよりも、「迷わず書ける」「最低限は伝わる」というラインを決める方が、長く無理なく続けることができます。
厳しいルールは反発を生む
記録や申し送りをそろえようとして、ルールを細かく決めた結果、記載漏れを指摘する場面が増え、「ここはこう書いて」と注意する回数が増え、記録を見るたびに気になる点が目につく――そんな経験はないでしょうか。
最初は「現場のため」と思って始めたことが、いつの間にか注意や指摘をする役割になってしまう。そして注意される側も、「また言われた」「忙しいのに細かい」と感じ、少しずつ反発心が生まれていきます。こうして、書く人も見る人も疲れていく構図ができあがります。
厳しいルールは、守れたときには整ったように見えますが、守れなかったときの摩擦が大きくなります。訪問看護の現場は、日々の判断や対応ですでに神経を使っています。そこに「守れなかった記録ルール」まで加わると、負担は一気に増えてしまいます。
結果として、記録や申し送りが「伝えるためのもの」から「怒られないためのもの」に変わってしまう。それでは本末転倒です。整えるべきなのは、人の行動ではなく、人が自然に守れる形です。
「書かせる」発想になってしまう
記録や申し送りをそろえようとすると、いつの間にか「どうやって書かせるか」という発想に寄ってしまうことがあります。
書き方を細かく指示し、できていない部分をチェックし、守れていないところを注意する――
こうした対応が増えると、記録は次第に「自分のため」ではなく「指導されないため」のものになっていきます。
すると現場では、最低限だけ書く、指摘されそうなところだけ整える、内容より形式を優先する、といった行動が増えていきます。これは看護師の意識が低いからではなく、そうせざるを得ない仕組みになっているだけです。
記録や申し送りは、誰かに書かされるものではなく、「書いたほうが楽になる」ものであるべきです。
次に訪問する人が判断しやすくなる。管理者が状況を把握しやすくなる。自分自身もあとで振り返りやすくなる。そう実感できてはじめて、記録は自然に整っていきます。
「書かせる」から「書きたくなる」へ。この視点の転換がないままでは、どれだけルールを整えても、現場で記録や申し送りが回ることはありません。
現場で回る記録・共有に必要なのは「最低限」
全部揃えなくていい――揃えるのは判断に必要な情報だけ
記録や申し送りを整えるというと、「内容をそろえる」「質を上げる」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし現場で本当に必要なのは、すべてを完璧にそろえることではありません。
大切なのは、次に見る人が迷わず判断できるかどうかです。
たとえば、文章が多少整っていなくても、今の状態が分かり、何が起きてどう対応したのかが分かり、次に注意すべき点が分かる――これだけ伝われば、現場は問題なく回ります。
逆に、情報はたくさん書いてあるのに、どこが重要なのか分からず、判断に必要な部分が見つからない記録は、読む側にとって大きな負担になります。
記録や申し送りで揃えるべきなのは、表現や文量ではなく、「判断に必要な情報」です。そこさえ共通になっていれば、書き方や言葉遣いに多少の違いがあっても、現場は混乱しません。
全部をそろえようとしなくていい。まずは「ここだけは伝わってほしい」というポイントを決めること。それが、無理なく続く記録・共有の第一歩になります。
まずは「ここだけは共通」にする――3つのポイント
記録や申し送りを整えるとき、いきなり全体の書き方を決める必要はありません。まずは「ここだけは共通にしよう」というポイントを3つだけ決めるので十分です。
訪問看護の現場で最低限そろえておきたいのは、次の3つです。
①状態変化
前回と比べて何が変わったのか、変わっていないのか。いつもと違う様子はあったか、症状やバイタルの変化はあったか、生活面・精神面での変化はあったか――
すべてを書く必要はありません。「変化があったかどうか」が分かるだけで、次に訪問する人の見方は大きく変わります。
②対応・判断
その変化に対して、どう対応し、どう判断したのか。様子見にしたのか、主治医に連絡したのか、家族へ説明したのか――ここが書かれていないと、次に見る人は「なぜこの状態なのか」「次はどうすればいいのか」を一から考えることになります。判断の背景まで詳しく書く必要はありません。事実と結論が分かれば十分です。
③次に見る人が知りたいこと
最後に、「次に訪問する人への一言」です。次回特に気をつけて見てほしい点、連絡が必要になりそうなタイミング、家族から出ている要望や不安――ここがあるだけで、申し送りを別で行わなくても、次の人が安心して訪問できます。
この3つがそろっていれば、文章の上手さや詳しさに差があっても、記録や申し送りは十分に機能します。まずは「状態変化・対応・次に見る人への情報」――この3点だけを共通の目安として意識してみてください。
フォーマットは「考えなくていい」ためのもの
フォーマットと聞くと、「決められた通りに書かなければならない」「自由に書けなくなる」そんな印象を持つ方も多いかもしれません。しかし本来、フォーマットの役割は真逆です。
フォーマットは、考えなくていいようにするためのもの。
何から書けばいいか迷わず、書き忘れを防げ、必要な情報が自然にそろう――こうした状態をつくるためにあります。
たとえば、「状態変化」「対応・判断」「次に見る人への情報」――この3つが並んでいるだけで、書く人は順番に埋めていくだけで済みます。文章が得意でなくても、忙しくても、その日の記録を書き終えやすくなる。そして読む側も、どこを見れば何が書いてあるかが分かるため、必要な情報を探す負担が減ります。
フォーマットは、書く人を縛るためではなく、書く人と読む人、両方を楽にする道具です。
大切なのは、完璧なフォーマットを作ることではありません。現場で使えるか、書く負担が増えていないか、読む側が判断しやすいか――この3点を基準に、必要最小限の形から始めてみてください。
フォーマットは一度決めたら終わりではなく、使いながら少しずつ調整していくものです。「これなら書ける」「これなら分かる」――そんな声が出る形こそが、現場で回るフォーマットです。
記録・申し送りを整える具体的なステップ
「整えたい気持ちはあるけれど、どこから手をつければいいか分からない」――そんなときは、大きなルール作りやフォーマット作成から始めなくて大丈夫です。まずは、今実際に書かれている記録を見ることから始めます。
よくある記録を並べて「差」を見る
最初にやることは、とてもシンプルです。同じ利用者、同じような訪問内容で、書いた人が違う記録――このような記録をいくつか並べて見てみてください。
すると多くの場合、書いている量が全然違う、注目しているポイントが違う、判断が書いてある人と書いていない人がいる、といった「差」が見えてきます。
ここで大切なのは、「誰が悪いか」を探さないことです。これは書く人の能力や意識の問題ではありません。「何を書けばいいかの共通認識がない」――ただそれだけの状態です。
記録を並べる目的は、注意や指摘をするためではなく、どこが人によってバラつきやすいのか、何が抜けやすいのか、逆に共通して書かれている情報は何か――を知るためです。
「ここが違うね」「ここはみんな書いてるね」――そんな事実を感情を入れずに共有することが、整える第一歩になります。
「そろえたい情報」を3つだけ決める
記録を並べて「差」が見えてくると、つい「ここも足りない」「これも書いてほしい」「全部そろえたほうがいいのでは?」と思ってしまいます。しかしここで一気に決めてしまうと、また同じ失敗を繰り返します。
整えるときに大切なのは、「全部」ではなく「3つだけ」に絞ることです。それも文章の書き方や細かい表現ではなく、情報の中身に絞ります。
たとえば、
✓ 状態変化が分かる情報、
✓ そのときの対応・判断、
✓ 次に訪問する人が知っておくべきこと――
この3つです。
これは、誰が書いても、文章量が違っても、必ずそろっていてほしい情報です。逆に言えば、それ以外の部分は多少バラついていても問題ありません。
「ここは人によって違っていい」「ここだけは共通にしよう」――この線引きをすることで、書く側の負担も見る側のストレスも減ります。
また「3つだけ」にすることで、スタッフに伝えるときもシンプルになります。
「全部そろえて」ではなく「この3つだけ意識してほしい」――
それだけで、現場の記録は驚くほど揃い始めます。
まずは、判断に必要な情報を3つだけ決める。これが、無理なく続く仕組みづくりのコツです。
まずは一部の記録から始める
記録や申し送りを整えようとすると、「どうせやるなら全体で一気に」と考えてしまいがちです。しかし実は、全体導入こそが失敗しやすい方法です。
忙しい時期と重なったり、使い方が十分に共有されなかったり、「また新しいルールが増えた」と受け取られたり――結果として、形だけ決まって現場では使われなくなってしまいます。
だからこそ、まずは一部の記録から始めることをおすすめします。
たとえば、特定の利用者だけ、新人が多く関わるケースだけ、申し送りで混乱しやすいケースだけ――「ここだけ試してみよう」という範囲をあらかじめ決めておきます。
この段階では、全員に完璧を求めなくて大丈夫です。書きにくいところはないか、分かりづらい表現はないか、本当に判断しやすくなったか――実際に使ってみて、現場の声を拾うことが何より大切です。
「思ったより楽だった」
「ここは要らないかも」
「ここがあると助かる」
そんな声をもとに、少しずつ整えていく。このプロセスがあるからこそ、「押しつけ」ではない仕組みになります。
全体導入しないことは、逃げでも手抜きでもありません。現場で回すための立派な戦略です。
デジタルを使うなら「楽になるか」だけを見る
記録や申し送りを整える話をすると、最後に必ず出てくるのが「結局、何かツールを入れたほうがいいんですよね?」という疑問です。
答えは、無理に入れる必要はありません。大切なのは、デジタルかどうかではなく、現場が本当に楽になるかどうかです。
高機能より「迷わない」――ツール選びの視点
ツール選びで失敗しやすいのは、「できることの多さ」で選んでしまうことです。多機能、カスタマイズ性が高い、専門的で高性能――一見すると魅力的ですが、現場ではこうなりがちです。
- どこに何を書けばいいか分からない
- 入力に時間がかかる
- 結局、一部の人しか使えない
ツールは、迷わず使えることが何より大事です。
たとえば、入力する項目が少ない、見る場所が決まっている、説明を受けなくても使える――こうしたツールのほうが、結果的に記録も共有も回ります。
「これで本当に楽になる?」「考えることは減る?」この2つを基準にすると、選ぶべきものは自然と絞られます。
高機能かどうかより、現場で迷わないか――。
それが、デジタル活用で一番大切な視点です。
Googleスプレッドシートやフォームで十分な理由
デジタルを使うとなると、「専門的なシステムを入れなければいけないのでは」と身構えてしまう方も多いと思います。しかし、記録や申し送りを整える目的であれば、高価で複雑なツールは必要ありません。
むしろ、Googleスプレッドシートやフォームのような身近なツールのほうが向いていることも多いです。
理由のひとつは、導入ハードルがとても低いこと。すでに使ったことがある人が多く、新しく覚える操作が少なく、特別な説明がなくても触れる――「とりあえず使ってみる」ができる環境は、現場にとって大きなメリットです。
もうひとつは、変更しやすいこと。現場で使ってみると、「ここはいらなかった」「ここは追加したい」と必ず調整したくなる部分が出てきます。スプレッドシートやフォームなら、その場ですぐに柔軟に変えられます。
完璧な形を最初から作る必要はありません。使いながら育てていけることが大切です。
あくまでツールは手段です。
楽になるか、迷わないか、続けられるか――
この3つを満たしていれば、紙でもデジタルでも構いません。「今の現場に合う形」を選ぶこと。それが、無理なく回る仕組みにつながります。
整った記録が現場にもたらす変化
聞き返しが減る
整った記録がもたらす一番分かりやすい変化は、聞き返しが減ることです。
「これ、どういう意味ですか?」
「結局、どうなったんでしたっけ?」
「前回、何を判断したんですか?」
こうしたやり取りが、少しずつ減っていきます。
理由はシンプルです。状態変化・対応・次に見る人への情報――判断に必要な情報が最初からそろっているから。
読む側は、誰かを捕まえて確認しなくても、自分で状況を把握できます。
聞き返しが減るということは、単に手間が減るだけではありません。声をかけるタイミングを探さなくていい、忙しそうな人に気を遣わなくていい、「聞いていいのかな」と迷わなくていい――こうした小さなストレスが確実に減っていきます。
記録が整うと、情報を取りに行く負担そのものが減る。それが、現場が静かに楽になる最初のサインです。
新人が判断しやすくなる
記録や申し送りが整ってくると、特に大きく変わるのが新人や経験の浅いスタッフの動き方です。
新人が迷うのは、知識や技術が足りないからではありません。多くの場合、「何を基準に判断すればいいのか」が見えていないだけです。
記録の中に、どんな変化があったのか、それに対してどう判断したのか、次は何を見てどう動けばいいのか――こうした情報がそろっていると、新人は「考え方」をなぞることができます。
先輩の判断の流れが見えることで、「自分もこう考えればいいんだ」という軸ができます。
結果として、些細なことで不安になりすぎず、必要なときに適切に相談でき、自信を持って次の訪問に向かえるようになります。
これは、マニュアルを増やしたからでも、教育の時間を増やしたからでもありません。記録そのものが教育になっている状態です。新人が安心して動けるようになると、先輩側の負担も自然と軽くなります。「全部自分が見なきゃ」という気持ちが、少しずつ手放せるようになります。
管理者が全て把握しなくてよくなる
記録や申し送りが整っていない現場では、最終的に情報が集まる先はいつも同じ人――管理者や経験の長いスタッフです。
記録を読み直して状況を整理し、足りない情報を個別に確認し、判断が必要な場面では必ず呼ばれる――気づけば、現場の「裏側の仕事」を一手に引き受けている状態になりがちです。
記録が整うと、この構造が少しずつ変わっていきます。
情報が記録の中にそろっており、判断の経緯が見え、次にどう動くかが共有されている――
その結果、管理者が一つひとつ確認しなくても現場が回るようになります。
「全部把握していないと不安」から「必要なときに見れば分かる」へ。これは、責任を手放すことではありません。確認しなくても大丈夫な状態を作るということです。
管理者が常に現場の細部に張りつかなくてよくなると、考える時間が戻ってきて、スタッフ育成に目を向けられ、自分自身の負担に気づける――そんな余白が生まれます。整った記録は、管理者を楽にするための仕組みでもあります。
まとめ――記録は「評価」ではなく「安心」のため
記録というと、「きちんと書けているか」「正しく書けているか」――そんな評価の目で見られがちです。しかし本来、記録の役割はそこではありません。
記録は、誰かを評価するためのものではなく、現場で働く人が安心して動くためのものです。
上手に書く必要はありません。文章がきれいでなくても構いません。大切なのは、正しく伝わること。状態はどうだったのか、どう判断したのか、次に何を見ればいいのか――それが分かれば、次に動く人は迷いません。
そして、仕組みが整えば、人は自然に動けるようになります。注意しなくても、責めなくても、「こう書けば楽だよね」という流れが生まれます。
もし今、記録や申し送りに違和感を感じているなら、「揃えなきゃ」と頑張る前に、「迷わなくていい形」を考えるところから始めてみてください。
ほんの少し整えるだけで、現場は確実に楽になります。そして、スタッフ全員が安心して働ける環境が、少しずつ形になっていきます。


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